クロモジ精油

クロモジってご存じでしょうか？正直、私は、精油について調べるまでまったく知りませんでした。クロモジを調べると様々な効果があるとわかり、クロモジ精油に興味が湧いてきました。そこで、今回は精油として使われるクロモジ、そして、オオバクロモジに焦点を当ててご紹介します。

クロモジとは
クロモジの種類
オオバクロモジについて
クロモジ精油について
オオバクロモジ精油について
クロモジの生理作用
クロモジ精油の不思議な魅力ついて
まとめ

クロモジとは

クロモジ（Lindera umbellata Thunb）は、クスノキ科の落葉低木です。黄緑色の枝に黒い模様があり、文字のように見えることから『黒文字』と書かれます。

クロモジの種類

クロモジには、種類があり、2種3変種に分類されています。

1．クロモジ(関東以西の本州、四国）オオバクロモジ(北海道、東北、本州の日本海側)　ヒメクロモジ（九州、四国、中部地方以西の本州）
２．ケクロモジ（近畿地方以西の本州、四国、九州）ウスゲクロモジ（関東以西の本州、四国、九州）
クロモジ精油　中田辰男　Aroma research Fragrance Journal LTD

オオバクロモジについて

青森県には葉の大きいオオバクロモジが多く自生しています。

クスノキ科の分布の中心は東南アジアやアマゾン流域の熱帯林です。日本には２０数種自生してます。そのうち青森県に自生しているのは、クロモジとアブラチャンです。
クスノキ科は暖地の植物であるので、北に進出してきたというイメージですが、実はオオバクロモジが母種だそうです。

クロモジの採取は、山好きの方にとっては新緑や紅葉に出会える素敵な仕事に感じますが、やぶこぎや夏の暑さ、ブヨや蚊、アブや蜂などに遭遇することが多く、苦労が多いそうです。採取作業は本当に大変ですよね。

クロモジ精油について

クロモジ精油は、枝葉を水蒸気蒸留して得られる。かつては、伊豆地方で石鹸香料や調合香料の原料として盛んに生産され、その記録は明治までさかのぼります。

精油としては、ウスゲクロモジの精油成分は、他のクロモジと著しく異なります。

オオバクロモジ精油について

採油は、20ｋgのオオバクロモジの生葉を約20kg入れて約4時間水蒸気蒸留して、約15ml~18mlの精油が取れます。大変貴重で稀少なオイルです。

オオバクロモジ精油の主成分はリロナールです。他に、1，8－シネオール、酢酸ゲラニル、リモネン、αーピネンなどが含まれています。

オオバクロモジ精油の香りは、香料の基本の香りのフローラル成分とシトラス成分が含まれており、甘く爽やかで深い香りが特徴です。

成分分析

分析項目	結果	方法
リナロール	36 g/100g	ガスクロマトグラフ－質量分析法
1.8-シネオール	9.2 g/100g	“
酢酸ゲラニル	7.7 g/100g	“
リモネン	7.4 g/100g	“
α-ピネン	5.6 g/100g	“
ゲラニオール	2.3 g/100g	“
カルボン	0.10 g/100g	“

日本食品分析センター調べ/燕雀堂サイトより

成分分析
リナロール
クロモジの主成分です。スズラン様の甘い優雅な香りがします。ローズウッドの主成分でもあり、多くの化粧品や食品に香料として使われています。
シネオール
ユーカリ油の主成分で、のど飴に使われています。
酢酸ゲラニル
ローズの香りで多くの化粧品や食品に使われています。
リモネン
オレンジ油の主成分で、柑橘類の香りがします。
α－ピネン
松ヤニの主成分で森林浴の代表的成分です。
ゲラニオール
甘いローズ様の香りで多くの化粧品や食品に使われています。
燕雀堂　ｗｅｂサイト

クロモジの生理作用

クロモジ精油を嗅ぐと交換神経の割合が減少して、副交感神経の割合が増加する傾向があったので、ストレスの解消や精神安定などのリラックス度の改善が期待でき、また、脳波に関してはクロモジ精油を嗅ぐとβ波の割合が有意に減少する傾向があったと報告している。
クロモジ精油　中田辰男　Aroma research Fragrance Journal LTD

クロモジ精油（燕雀堂）は、熟成することによって、香りのカドが取れ、青葉臭やエグミ臭が減少します。低温熟成で4~5カ月かかるそうです。時間をかけて丁寧に作られることで、貴重な精油ができあがるのですね。

クロモジ精油の不思議な魅力ついて

様々な植物から精製された精油は、消臭効果やヒトをリラックスさせる効果を持ち、古くから使われています。日本でも、民間伝承として、疾患の治癒や予防につかわれてきたものも多い。クロモジ（黒文字）は、・・・。また枝は『鳥樟』、根は『釣樟』の名で漢方薬としても使用されてきた。
クロモジ精油の生理機能　前多隼人　片岡陽太郎

日本古来から様々な目的でクロモジが使われてきました。

クロモジの生育範囲は広く山地の至る所に見られるが、林業においては雑木として除伐されます。そこで、クロモジを活用することは林業の一助となる可能性があります。